抗う


A.死闘

抗う、柿、死闘、写真短歌、フォト短歌、写短、紫陽花法師
自宅、2010.10.02(Sat)、14:13 Nikon COOLPIX P80、23m F4.5 1/60秒 +0.3EV ISO96

  この時は、柿の葉の紅葉と黄葉の違いをネットで調べて、このように詠みました。

 しかし、2017年1月から2月にかけて田中修さんの植物本を何冊も読んでいると、その中の『植物学「超」入門』(サイエンス・アイ新書、2016年3月発刊)に、紅葉と黄葉の違いは、そのようなものではないことが書いてありました。
 その説明は省きますが、落葉の仕組みに関しては驚くべきことが書いてありました。P.182~185の要点を以下に引用します。なお、斜体文字は私のコメントです。

「落葉」とは?

  • 葉っぱは、冬の寒さの訪れが近づくと、「冬の寒さの中で、自分はまもなく役に立たなくなる」と感じ、引き際を悟る。この点だけならBの短歌は正しいようにも思えますが、以下のとおり「静かに待つ」訳ではありませんでした
  • 葉っぱは、枯れ落ちる前に、緑色の時に持っていたデンプンやタンパク質などの栄養物を、樹木の本体に戻す。
  • 葉っぱは、葉身(枝についている葉っぱの緑色の平たく広がった部分)と葉柄(葉身を枝や幹につないでいる柄)から成り立っていて、葉っぱは、落葉に先だって、葉柄の付け根付近に「切り離すための場所」を形成する。

 図がないので分かりにくいかも知れません。「離層」と「葉柄」はEに示しましたが、興味のある方は、ぜひ原典に当たってください。


B.黄葉

抗う、柿、黄葉、運命、写真短歌、フォト短歌、写短、紫陽花法師
自宅、2010.10.02(Sat)、11:54 Nikon COOLPIX P80、10m F3.5 1/65秒 +0.3EV ISO65


 


C.紅葉

抗う、柿、紅葉、運命、写真短歌、フォト短歌、写短、紫陽花法師
自宅、2010.10.02(Sat)、14:11 Nikon COOLPIX P80、30m F4.5 1/60秒 ISO88


 

 


D.抜け殻も抗う

抗う、柿、セミ、写真短歌、フォト短歌、写短、紫陽花法師
自宅、2010.10.11(Mon)、17:03 Nikon COOLPIX P80、40m F4.5 1/60秒 ISO158



E.生気なき翁

抗う、柿、翁、兵糧攻め、夕暮れ、離層、葉柄、写真短歌、フォト短歌、写短、紫陽花法師
自宅、2010.10.11(Mon)、17:06 Nikon COOLPIX P80、30m F4.5 1/60秒 ISO187


 

以下も田中修さんの『植物学「超」入門』(サイエンス・アイ新書)からの引用です。標題の「抗う」は「悟る」とすべきでした。

 

「離層」の形成

  • 葉っぱが樹木の枝から枯れ落ちる場所は「離層」と言われる。「枯れ葉」と言われるが、葉柄が枯れて落ちるのではない。
  • 「枝や幹が、役に立たなくなった葉っぱを切り捨てるために離層をつくる」という印象があるかも知れないが、離層は葉っぱからの働きかけで形成される。
  • 働いている葉っぱでは、葉身がオーキシンという物質を作って葉柄に送り続けており、送られてくるオーキシンが、離層の形成を抑えている。
  • ところが、「冬の寒さの中で自分はまもなく役に立たなくなる」と葉っぱが感じた時、オーキシンを送るのをやめ、自分で離層の形成を促して落ちる。