私の写真短歌のテーマ

2017.08.06

 佐々木幸綱さんは、第21回牧水賞の選考委員としての記念講演において、以下のように述べておられます。

 旅の歌を作る上で牧水は、植物や鳥などいくつかの得意分野を短歌にすることを意識的に行なっていた。「旅」という大テーマを自分のものにするために、「鳥」や「樹木」という小テーマを自分の中に蓄積していったと考えられる。

 どういう木が生えて、どういう鳥が鳴いているのか、旅路でもすぐ分かるようになるまで名前や生態について勉強していた。固有名詞をしっかりと覚え、ディテールに拘ることは、歌の特長になってゆく。(宮崎日日新聞、2017年2月27日)


 私にとっての大テーマは、「生き物の生き物らしい姿を写真短歌として描写すること」。被写体は主に花、昆虫、野鳥などの動植物。

 コンデジで写真短歌を始めた当初は、庭に咲く花やセミなど、自宅で観察できる動植物を被写体としていました。やがて、ヒマワリやコスモスなど自宅外の被写体を撮るにつれ、カメラを一眼レフに換え、接写用のレンズや野鳥撮影用の超望遠ズームレンズ等を揃えました。

 しかし、2017年に写真短歌総集編を作る過程で選んだ写真短歌は、以外にもコンデジで撮ったものが5割を占めました。ここで私は、およそ30年前に発刊された小池光歌集『日々の思い出』のあとがきの次の一節を想起せずにはおられません。


『日々の思い出』で意識していたのは、たぶん、この「日付の映る写真」である、バカチョン写真機で、公園のベンチとか、電気のコンセントとか、金魚鉢にうつる子供の顔とか撮ってみたのだ。高級一眼レフで撮った<芸術写真>でない。


 一眼レフ購入後はコンデジを使わなくなっていましたが、軽くて機動力のあるコンデジでないと撮れないものがあることを再認識しました。私が写真短歌のテーマを追求する上でコンデジは欠かせない存在ですので、相棒として復帰させます。