2010年7月31日の朝5時45分から約2時間、羽化したばかりと思われるクマゼミ一匹を撮り続けました。
そのまま後ずさりすれば枝にぶつかるぞ、どうするのかな、と思いました。
眼が飛び出しているから振り返らなくても見えるんだ。そんなことにも気付かないなんて、と思いました。
「飛びたないことによって自分に降りかかるリスク」と「まだ羽化したばかりなので飛び立つ勇気がなくて、飛び立つことのリスク」を考えて逡巡しているのかも、と思えば楽しいですね。
このセミの詠みに対する返歌を詠んでみました。
幸綱は「蝉に青春と老い」と詠む青春に辿り着きたる君
「幸綱」は、日本で最も長い歴史のある短歌結社「心の花」主宰の佐佐木幸綱氏のことです。歌集『テオが来た日』(2020年、ながらみ書房)に「朝の桜につどい鳴く蝉 短命の蝉にも青春と老いとあるべし」の一首があり、それを踏まえての詠みです。
なお、2019年、宮崎観光ホテルで開催された牧水賞授賞式の後の交流会(現代短歌・南の会主催)において氏に挨拶したところ、私の紫陽花法師の名刺を見て「お坊さんですか」と言われました。
そこで、『写真短歌の魅力と作法』(初版)を改定して第二版を出版するに当たり、「紫陽花法師」を名乗ることにした経緯を追記しました。第二版は2020年の交流会前に氏宛に郵送しました。